昨年からのコメの高騰が話題に上らない日はないが、どうも腑に落ちないのでデータを漁ってみた。
どこが腑に落ちないかというと、私が社会に出てひとり住まいしたころ(1986年)も今と似たような価格だった気がしたからだ。5キロが5千円札で少しお釣りが来るくらいで今の4千円より少しは高かったかもしれない。
いくらググっても農水省のコメの価格のデータは同じ基準の物がなかったため、1960年から現在の農水省の似たデータを3つ繋げてみた。赤い線の九州の価格だけ少し低くなっているように見えるがオーバーラップしている部分の差は大きくないのでほぼ同じと思って構わないと思う。この価格は「集荷業者が卸業者に販売する価格」であり「相対取引価格」と呼ばれ、これにいくつもの中間マージンや加工コスト、輸送費などが加わると私達が買う価格になる。通常は小売価格の六割程度と言われるが、今回の高騰では五割を若干下回っているかもしれない。これは農家からの買い取り価格以外のコストが増えているとも言えるが、中間マージンが増えているのかもしれない。
米の価格だけでは比べるものがないので平均年収も同じグラフに入れてみた。給与と米の価格は物価を示す一つの指標でもあるからだ。その結果が次のグラフだ。平均年収の1975年以前のものはすぐに見つからなかったが、バブル期以降はカバーできているので比較できると思う。
米の価格は左軸、平均年収は右軸。

高度成長期からバブル期にかけてコメ価格が徐々に上がっていることがわかる。バブル期をピークに下降を続け2023年末から急激に高騰して今の価格高騰に至っている。2003年の高騰は冷夏による記録的な不作が原因だ。これを見て分かるようにバブル期の米価格と今の米価格は同程度だ。
グラフを見るとバブル崩壊後にコメ価格は下落を続けているが、バブル崩壊から30年間で平均年収の下落が1割程度なのにコメ価格は酷い時で5割近くも落ち込んでいる。異常な落ち方だ。離農する農家の気持ちが理解できる。子供に背負わせたくないと思うのもわかるし、子供も同じ苦労はしたくないと思うだろう。
ほぼ全てのメディアは2010年あたりからのデータしか見せないが、その以前を見ればコメ価格は異常な下落から正常値を超えて上がりすぎた様子が見えてくる。正常値を超えて上がったのは農水省の対応の遅れだ。上がってくれて嬉しいと放置したら上がりすぎた。たぶん農協も内情は同じだろう。
この継ぎ接ぎのグラフは大企業のシンクタンクでも米の問題の検証に使われている。このような一貫性のない統計しか用意してこなかった農水省ってどうなんだろう。追いにくい統計で誤魔化して農家をこき使って使い捨てにしてきたように思えてしかたがない。また、それを見ようともしないマスゴミのゴミ具合も同様だ。
何事でも大臣にばかり責任を求めるが、マスゴミも国民も国家公務員の無能ぶりは言葉にしない。
「失われた30年」という言葉をよく聞くが、その30年に失われたものははるかに多い。
